みなさん、「貫入」という言葉をご存知ですか?
主に陶器にみられる現象で、素地と釉薬の収縮率の差により釉薬表面に生じるヒビのことです。
ヒビが入っていて大丈夫なの?と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、
ヒビが入っているのは表面の釉薬の部分だけで、ご使用上問題はないのでご安心ください。
自然の現象によって出来上がる陶器の模様とも言える貫入は、器の印象を大きく左右します。
「貫入」とは器の表情を決める大事な技法の1つでもあるのです。
前置きが長くなりましたが、そんな「貫入」というの名前がついた器がsobokaiにはあります。
それがこちらの器。「貫入 6寸角皿」
表面を見ていただくとたしかに貫入が見られます。
こちらのシリーズ、黄瀬戸と青磁の2つの器があります。
よく見比べてみると、「あれ?」と思った方も多いのではないでしょうか?
そうです。こちらの2つ、釉薬の塗り方に違いがあります。
黄瀬戸の方は一部に釉薬を施しておらず、あえて土の素地を見せています。
荒々しさが表現され、印象に残る一皿を演出しています。
ちなみに黄瀬戸とは、美濃焼の伝統的な作風の1つで、温かみのある黄色が特徴です。
一方で青磁は透明感のある爽やかな青の釉薬を全面に施すことで、
すっきりとした軽やかな印象の器に仕上がっています。
そのため、盛り付けたお料理の印象も黄瀬戸と青磁で異なります。
黄瀬戸の方は荒々しさがあるので、力強さだったり素朴さがより感じられます。
日本の家庭料理や、食材が活きたシンプルな調理方法の料理などが似合います。
青磁の方はすっきりとしていて落ち着きがあるので、
サイコロステーキなど、こってりとしたお料理の重たさを軽減してくれたり、
そうめんなど涼しげな料理の爽やかさを強調してくれます。
ここで、「貫入 6寸角皿」についてもう少し豆知識をご紹介。
こちらの器、横から見ていただくと厚みがあり、ぽってりとした印象。
「たたら成形」という技法で作られており
1つ1つ手作りをしているので、輪郭や反り方も個性豊か。
粘土の塊から糸や針金を使い、1つ1つ切り出し、板状の土を型に押し付けて形作っています。
そのためたたら成形で作られた器は
切り出す際にできた糸の引っ張りの跡がうっすら横縞として見えたり、
糸により石が引きずられた跡なんかも見られ、手作りの個性が器の表情として現れています。
陶器の伝統技法が詰まった「貫入 6寸角皿」を使えば、
いつもの食卓を印象的なものにしてくれますよ。
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