私たち日本人は季節の変化を敏感に感じ、
古来より様々な形で愛でてきました。
「七十二候(しちじゅうにこう)」は
植物の成長や動物の行動、
気象の変化などで、繊細な季節の移ろいを
美しい言葉で表した農事暦です。
涼やかな音色を奏でる虫の声
街路樹の葉の色づきや空高く浮かぶ雲
満ち欠けを繰り返しながら輝く月
霜雪の中で春を待つ植物や生き物のたくましさ
繊細な季節の移ろいに
美しい言葉で触れる日本の暦
二十四の節気と七十二の候の完結編
心豊かな暦に楽しい食事の彩りを添えてお届けします
「こんこんと降る雪のなかで芽吹く麦」 初明かり。 初日の出の前に見られるほのかな光のことです。 明けゆく空に広がる光は希望に満ちていて、まっさらな心情に包まれます。 降り積もる雪の下では麦の芽が伸びる頃。 麦は秋に種を蒔き、初夏に収穫をし...
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「鮭が生まれ育った川に戻る」 川で生まれ、海に出て成長する鮭。 鮭はにおいを記憶しているので、元の川に戻ってくることができると言われています。 この時期になると大きく育った鮭が群れとなって、生まれ育った日本の川に帰ってきます。 産卵するために川に戻った鮭は...
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「空は雲に塞がれ、本格的な冬となる」 大雪の初候、いよいよ本格的な冬に入ります。 空を塞ぐように灰色の雲が広がり、生き物たちもじっと潜んでいます。 山は雪化粧で白くなり、冬一色になる季節です。 そんな寒い日には、部屋の掃除をしてみたり、温かい料理を作ってみ...
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「冷たい北風が木々の葉を払い落とす」 北風は木々の葉を枯らしながら地面に落として、 たくさんの落ち葉を辺り一面に散らしていきます。 散った落ち葉は地面いっぱいに拡がって、木の葉の絨毯に。 地面に落ちた葉は、微生物たちの働きによって肥料となって土を豊かにし、...
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「太陽の光が弱まり、空気も乾燥し、虹が見えなくなる」 本格的な冬に入ると、陽射しは弱まり、空気も乾燥してきます。 太陽の見えない、曇り空の日も多くなり、 虹が見える条件がだんだん満たされなくなってくる頃。 この頃行われる行事に秋の収穫に感謝...
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「山茶花がひっそりと冬の気配を伝える」 山茶花の花が咲き始める頃。 枯れ木や雪景色の中で咲く姿は綺麗で、冬の凍える寒さも忘れてしまうほど。 寒空の下、鮮やかな色が冬の道を優しく灯してくれています。 花に顔を近づけると、甘く爽...
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「蔦や楓の木の葉が色づく」 秋も深まると、赤や黄の彩りが山々の上の方から麓へと降りてきます。 日本の紅葉の美しさや鮮やかさは、世界有数。 寒暖の差など変化に満ちた気候風土のおかげで、 その色の豊富さやグラデーションの繊細さでは群を抜いています。 &nbs...
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「人々と野山の動植物への冬支度の合図」 霎時施(こさめときどきふる)。 秋の長雨とは異なり、晴れていたかと思うと、さーっと降ってきて、 また間もなく上がってしまうような雨のこと。 「女心と秋の空」と象徴的に言われるように、「秋の空」は、降り...
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「秋の色が濃くなり、菊が花開く」 秋が深まり、菊の花が咲きはじめます。 菊が咲く頃に空が晴れ渡ることを、菊晴れと言います。 中国では古代から長寿の花とされていた菊。 日本には奈良時代に薬草としてやってきました。 この時期には日本各地で菊の...
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「冬の訪れとともにやってくる雁の群れ」 夏鳥が南へ帰り、冬鳥が越冬をしに海を渡ってくる頃。 鴻雁とは、カモより大きな水鳥の総称です。 晩秋の澄み切った青空に雁の群れが織りなす風景は圧巻。 その一つに竿型や鉤型の隊列を組んで大空を飛ぶ「雁行」があります。 ...
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「稲刈りの準備と共に美しさを増す黄金色」 青々と一面を染めていた稲が色づき、秋の深まりが感じられます。 水田に張られた水を落として刈り入れの準備にかかる頃。 水を抜く時期は早くても遅くてもお米の品質に影響するため、最適な時期を見極めます。 米作りには八十八...
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「雷が収まり、秋を迎える」 爽やかな秋らしい風が吹きはじめる頃、 夕立を伴って鳴り響いていた雷は収まります。 夏の入道雲は消え、空にはいわし雲や鱗雲が広がります。 雷乃収声の一日目は秋分の日。 昼と夜の長さが同じになり、この日を境に夜が長くなります。 暑さ寒さも彼岸ま...
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「澄みきった秋の空に、鶺鴒の鳴き声」 秋の小鳥を代表して七十二候に選ばれた鶺鴒。 鶺鴒は古くから日本にいる身近な鳥です。 水辺を好む鳥ですが市街地でもよく見かけます。 ちょこちょこ歩く姿が愛らしく、つい目で追ってしまいます。 ...
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夏から秋へ、透明な朝露がきらきらと輝く 早朝、草や花の上に降りてきた朝露が白く光って見える頃。 夏から秋への季節の変わり目、 気温の差が大きくなると木々の葉や草花に透明な水玉がたわわに実る。 秋の季語でもある「露」。 一瞬で消えてしまう朝露の儚さは、繊細...
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