Chamomile
カモミール
![](/contents_image/utsuwa_hanashi/files/20190110/DSC_9434.jpg)
![](/contents_image/utsuwa_hanashi/files/20190110/DSC_9440_daen.jpg)
いつかのカモミール
青を基調とした草花や動物などの図柄が全面に描かれている器を眺めるのが
好きです。豊作や子孫繁栄を願った図柄があったり、
おとぎ話や悲恋の物語が描かれているものだったり、
器を眺めていると毎回いろんな発見があって楽しませてくれます。
そんな装飾のあるシリーズができればいいなぁと企画をスタートさせました。
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![](/contents_image/utsuwa_hanashi/files/20190112/DSC_5381_chamo.jpg)
器の図柄となるモチーフ探しをしていて、いつかのドライブであたり一面
満開のカモミール畑に遭遇したことを思い出しました。
気候の良い日で小さな白い花が可愛らしく、
近づくともわっとした甘い香りに包まれました。
あの匂い立つ香りとふわふわとした畑の陽気が感じられるような
カモミールを表現できたらとスケッチを重ね、
絵を組み合わせ、図柄をパターン化させていきました。
![](/contents_image/utsuwa_hanashi/files/20190110/DSC_9051_douban.jpg)
図柄を器に写す技法は銅板転写といい
紙に刷られた図柄を器面に写し取っていく作業です。
湾曲した器の内側全体に銅板紙を貼り付ける作業は高い技術が必要になります。
一枚一枚手貼りされた柄はシワが入ったり、
滲みがあったり所々絵が繋がっていなかったりしますが、
貼る工程で自然とできる図柄の濃淡や貼りムラなどがどこが味わい深く、
意図していないような表情豊かなカモミールが生まれ、
あのときの優しいカモミール畑により近づいたように思います。
絵をよく見ると畑をせわしなく飛び回る昆虫たちがいるのも隠れたポイントです。
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器のアイテムは深皿、小鉢、楕円皿、豆皿、カップの5アイテム。
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深皿はそうめん、冷やし中華、ロールキャベツ、チャーハン、
炒め物や煮物の盛り鉢としても使い勝手が良いです。
口元の立ち上がりがしっかりあることと、
底面が緩くカーブしているのでスプーンやレンゲが使いやすく、
すくったりする動作もスムーズです。
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小鉢は酢の物、和え物、食卓に何品か並ぶおかず用として。
立ち上がりのある形状で、ついたくさん盛りつけてしまいそうですが、
上品に盛りつけて絵柄も合わせて楽しんで頂きたいです。
![](/contents_image/utsuwa_hanashi/files/20190110/DSC_7226_daen.jpg)
楕円皿はナスの揚げ浸しや、魚の南蛮漬けなど少し長さのある食材におすすめです。
おにぎりや二品盛りはもちろん、
チーズケーキやパウンドケーキのようなスイーツも新鮮にうつります。
豆皿は薬味やタレ皿、小さな小菓子など、
カップはコーヒーやスイーツとの相性もよいです。
![](/contents_image/utsuwa_hanashi/files/20190110/DSC_9462_mame.jpg)
ヨーロッパのような装飾であり、
形状は日本の家紋や模様の一つである木瓜型をベースにしています。
洋でもあり和でもあるカテゴライズしづらいシリーズですが、
盛りつける料理や食材ひとつでスタイルが変容するような面白さがあります。
中華に、イタリアン、フレンチといろいろな国の美味しいものを自分たちの好みに
アレンジしている日本の家庭料理にこそ合わせていただきたいシリーズです。