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小倉トーストとソジで始まる喫茶モーニング器とわたしの小さなしつらえ
vol.10

読了時間の目安:5分

器をひとつ添えるだけで、いつもの朝ごはんも、暮らしのなかの風景として立ち上がります。「今日はどんな器にしよう。」その小さな選択が、“食べる時間”を、少しだけ心地よい空間に整えてくれる。

今日は、いつものトーストにあんバターを添えて、器の力を借りながら、おうちで楽しむ「喫茶店風の朝」のしつらえをしてみます。

1.きょうの一皿 何でもない朝に惹かれて

「好きな朝ごはん」特集の雑誌を、朝の光のなかでぱらぱらとめくっていました。そこに載っていたのは、ふんわり焼けたトーストに、ジャム。そして横に添えられた野菜ジュース。特別な料理でも、凝った盛りつけでもない。それなのに、ページを閉じたあとも、その朝の風景が頭から離れませんでした。

惹かれたのは、料理そのものよりも、その「時間」だったのだと思います。きちんと焼かれたトーストと、グラスに注がれた飲みもの。余計なものがなく、静かに一日を始めている感じが、とても心地よく映りました。忙しい朝が続くと、朝ごはんはつい簡単に済ませてしまいがち。けれどあの誌面を見ていたら、少しだけ立ち止まって、ちゃんと朝を迎えたくなったのです。

そこで思い浮かんだのが、小倉トースト。喫茶店で食べた記憶や、古民家カフェでゆっくり味わった朝の景色。今日はその気分を、家にある材料と器で再現してみることにしました。

2.どの器にする? 喫茶店の記憶をたどって

小倉トーストと喫茶店。思い浮かべると、器は派手すぎず、でもきちんと存在感のあるものが似合いそう。毎朝使っても気負わず、けれどどこか絵になる、そんな一枚を選びたい。今日は、素材感のあるリムプレートを3枚並べました。

ランドレース230プレート ビター
深みのある色合いと、ほどよく表情のある質感。トーストの焼き色が映え、落ち着いた喫茶店の雰囲気に。

ソジ プレートL エクリュ
やわらかな白が、朝の光をきれいに受け止めてくれる一枚。あんこの色を引き立て、軽やかな印象に。

フォルクローレ8寸皿 黒柿釉
渋みのある釉薬が印象的で、古民家カフェのような空気感。小倉トーストを、少し大人っぽく見せてくれます。

どれも魅力的でしたが、今日はソジのエクリュを選びました。きつね色に焼けたトーストと、深いあんこの色を、いちばん素直に受け止めてくれそうだったから。やさしい色合いが、朝の光によくなじむのも決め手でした。

3.器をしつらえて おうち喫茶の開店です

こんがりと焼けたトーストを、ソジのエクリュの中央へ。少し厚みのある生地に、こんもりとのせたあんこを伸ばす。その上に、四角く切ったバターをそっと置くと、一気に喫茶店らしい景色が立ち上がります。コーヒーは、マウンテンマグで。ソジと同じ素材感のある佇まいで、器同士が自然と呼応し合います。

追いあんこ用には、モリスのプチボウルを。土の表情が残る器はどこか懐かしく、それでいてころんとした形にかわいらしさが光る。ソジと並べても渋くなりすぎず、ほどよいレトロ感が朝の空気に合います。

バターはスワンの小皿に。白鳥がすいすいと水面を漂うような姿は想像以上にバターが似合う。背徳感のあるはずのバターが、不思議と軽やかに見えて、朝の景色にすっと溶け込みます。

トースト、あんこ、バター、コーヒー。ひとつひとつは特別なものではないのに、器を揃えるだけで、きちんとした朝のしつらえになりました。

4.器をしつらえて ゆっくり始まるわたしの朝

熱々のトーストを両手でそっと持ちあげる。バターがゆっくり溶け出します。あんこの甘さに、バターの塩気。何度も知っている味なのに、ゆっくり味わうと、驚くほど満足感があります。コーヒーをひと口飲み、またトーストへ。

追いあんこを少し足して、味の変化を楽しむ。そんな何気ないやりとりが、朝の時間を穏やかに整えてくれます。

喫茶店に行かなくても、特別な材料を使わなくても、器をしつらえれば、朝はこんなにも豊かになる。

今日の一日は、この静かな朝から始まりました。小倉トーストと器がつくってくれた、やさしい余白のある時間です。